3.いろいろな考え方があるという「気付き」が大切 大西秀樹先生 インタビュー

(BY Atsuko MINATO)

Dr_Hideki_Onishi04.jpg

ヒルル:遺族外来 には、患者さんはどのような症状を訴えてこられますか?
大西先生:慢性的な睡眠障害、罪悪感、絶望感、抑うつ などの症状を訴えられる方が多いです。遠くの地から来る方もいらっしゃいます。なぜなら、遺族の診察を行っているところがあまりないのです。遺族を亡くした病院には行けない、その駅で降りられない といった症状があるために 私たちの病院まで来る人もいます。初診時は四割の方が うつ病 に罹患しています。

ヒルル:大西先生はそのようなご遺族にどのように対応されているのですか?
大西先生:まずお話を聞いて、問題点を明らかにします。 話す という作業は、ご自分の整理です。話すだけ でも気持ちが楽になる効果があります。中立的な立場で、決して批判しないでお話を伺い、適宜「こうするといいかも」といったアドバイスやご提案を行うこともあります。これを 支持的精神療法 といいます。また「話す」という意味では、ご遺族同士が会話できる機会も設けます。同じ気持ちを抱える方たち同士で話し合って気持ちを共有できることは非常に有効です。それから、出来る援助をする、ということをお伝えします。

ヒルル:出来る援助というのは、具体的にはどんなことでしょうか?
大西先生:まず問題点を整理します。 うつ病 がある場合には、その治療を優先します。経済的な問題はソーシャルワーカーと、相続などの問題は法律家と連絡を取り、一つずつ問題を片付けていきます。それから心理的介入といって、「 認知行動療法 」を活用し、患者さんが様々な考え方ができるようにガイドを行うこともあります。

ヒルル:考え方を変える方法について具体的に教えていただけますか?
大西先生:グループで 認知行動療法 を行う時、例えば「『明日、東京地方は大雨です』という文章から、あなたは何を連想しますか?」と質問してみます。「スーツが濡れる」と言う人もいれば、「作物がよく育つ」と言う人もいます。こうして、何を連想するかは人によって違うこと、いろいろな考え方のパターンがある ということに気付いてもらいます。この「 気付き 」が大切です。