「チョコレート嚢胞で経過観察中」 上坊敏子先生の『卵巣の病気』連動コンテンツ


2012年10月、上坊敏子先生は 多くの女性に卵巣のことを正しく知ってもらうために、『卵巣の病気』月経の不調から卵巣がんまで(健康ライブラリースペシャル 講談社)を世に出されました。

ヒルルでは チョコレート嚢胞と診断された ピーチさんの投稿からスタートし、チョコレート嚢胞に関して正しく知ってもらうための連載を開始します。 『卵巣の病気』では、第3章で チョコレート嚢胞  について詳しく解説されていますので、 該当ページを参照しながらすすめます。

ネットでは限界があります。 ヒルルを訪問された方は 上坊先生がハードワークの末書き上げた良書『卵巣の病気』を実際に手に取ってお読みください。正しい情報を、どうか、ご自分の知識として獲得してください(ヒルル編集長)  『卵巣の病気』を amazonで購入する>
投稿者ピーチさん会社員29歳   投稿者:ピーチ(会社員  29歳)
「チョコレート嚢胞 で 経過観察中」


先日、婦人科で検査を受けたところ、「MRI検査を受けてみないと確定診断はできないが、左側卵巣に3〜4センチほどのチョコレート嚢胞ができている」と言われました。

私の場合、生理痛はあるものの、市販の鎮痛薬で痛みは抑えられていること、 嚢胞の大きさは今すぐ精密検査をしなくていいということ、経過観察となりました。 半年後に再度、超音波検査を受ける予定です。

半年後の検査までに、生理痛がつらくなったり、生理時以外にも腹痛が続くようになったら「すぐ受診するように」と言われました。

ネットで見たのですが、

「チョコレートのう胞は、悪性化の可能性は、ほぼない」

とあって、あまり神経質になる必要はないと思いますが、ほかに経過観察中に気をつけることなどありましたら、同じようにチョコレート嚢胞の症状をお持ちの方、教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

上坊敏子先生

上坊先生: この「ネット」というのは、ヒルルさんのところ?

<厳しい雰囲気に激変>

ヒルル: (ビビリながら)とっ、とんでもない、違います。 ウチの取材(註)、瀧澤憲先生では「がんに変化する危険性を秘めています」でしたが・・・  (註)「チョコレート嚢腫ってがんになる?」

上坊先生: それならば、続けましょう。

チョコレート嚢胞の問題点は、悪性化する、つまり、がん化する可能性があるということです。

ピーチさん、「生理痛はあるものの、市販の鎮痛薬で痛みは抑えられている」から大丈夫だって、甘く見てはいけませんよ。

詳しくは☞『卵巣の病気』73ページ チョコレート嚢胞ってどんな病気?
詳しくは☞『卵巣の病気』96ページ チョコレート嚢胞の悪性化


ヒルル: (何か言い足りない感のある上坊先生にたいして)  ピーチさんがネットで調べたこと、誤りでしたね。  もしウチが、その「ネット」だったとしたら、どうなってたんでしょうか?

上坊先生: 出入り禁止。  即座に私が関係したヒルルの取材ページ削除を要求します。場合によっては、法的措置も取るかもしれませんよ。

<一時中断>
しばらくの間、上坊先生の真剣な厳しいお話しを聞く。ヒルルは聞き上手 (T.T)

ヒルル: 正しく知ってもらえるように細心の注意をもって今後もコンテンツ作成していきたいと思いますので、どうか、ご指導お願いいたします。
・・・問題提起となってしまった誤りですが、「卵巣チョコレート嚢胞」とネットを見て情報を得る方々に、適切かつ正しい「情報」を教えて頂けませんか?


上坊先生: 卵巣チョコレート嚢胞の一番大きな問題は、月経痛 が強くなることです。チョコレート嚢胞は非常に もろい病変なので、破裂して中身が漏れてしまうことがあります。痛みが非常に強くなり、緊急手術が必要になることもあります。チョコレート嚢胞の周りは癒着してしまうことが多く、これが 不妊症の原因 になることも大きな問題です。そして最後の大きな問題が 悪性化する可能性があることです。悪性化する頻度は せいぜい1%と高いものではありませんが、40歳以上で10cm以上のチョコレート嚢胞は悪性化のリスクが非常に高いことが分かっています。40歳を過ぎて、徐々に大きくなるチョコレート嚢胞や、嚢胞の中に異常な影 が見つかるようなときは、摘出手術を受けることをお勧めします。卵巣に発生した がんは、子宮頸がんのように簡単に、確実に診断することができません。卵巣は、子宮のような厚い筋肉で守られていませんから、卵巣がんは進行が早いのも困った特徴です。卵巣チョコレート嚢胞を含む子宮内膜症が原因の月経痛には、経口避妊薬 がとてもよく効きます。経口避妊薬には、卵巣がんを予防する効果もありますから、現在妊娠を希望していない女性には是非お勧めしたい治療法です。

ヒルル: 「チョコレート嚢胞」の問題点を幅広い年齢層へ、かつリスクが高まる年齢・嚢胞の大きさや条件、予防までのご回答ありがとうございます。
(ヒルルユーザーの皆様へ; この彗星のような上坊先生の回答は、改行もせずにそのまま掲載します。密度が濃すぎて編集できません。コピペは自由ですが「塊」(かたまり)として扱ってください)

それでは「最後の大きな問題」の悪性化を・・・


上坊先生: その前に投稿者の質問に答えてしまいましょう、待たしては悪いわ。

ヒルル: はい、ピーチさんは「経過観察中に気をつけること」を知りたいそうです。担当医の先生には「半年後の検査までに、生理痛がつらくなったり、生理時以外にも腹痛が続くよう」ならば「すぐ受診するように」と言われたそうです。「左側卵巣に3〜4センチほどのチョコレート嚢胞」です。

上坊先生: 担当の先生が言われる通りです。毎月の月経痛に気を配り、何か変化や気になることがあったら、受診してください。

ヒルル: ありがとうございます。 ピーチさん、経過観察中に何か変化や気になることがあれば受診、とのことです。半年後の経過観察を忘れずに!それと受診後に投稿でどうなったかをお知らせくださいね(上坊先生は少しでも縁があった人のこと、ずっと  忘れず気にとめる  方なのです)

先生、それではチョコレート嚢胞の「最後の大きな問題」ですが・・


上坊先生: チョコレート嚢胞の最大の問題点は、悪性腫瘍への変化 でしょう。チョコレート嚢胞と診断して手術した患者さんの、3〜5%に 卵巣がん が発見されると報告されています。

一方、チョコレート嚢胞自体はよくある病気です。チョコレート嚢胞と診断されても、イコール 卵巣がん と思う必要はありません。しかし、卵巣がん は正確な診断が難しく、子宮がんと比べると進行が早い病気です。 困ったことに、超音波検査で特に問題ないと判定されていた5cmのチョコレート嚢胞でも がん化していることがあります。

どうか、このことを忘れないで、経過観察や治療を受けて欲しいと思います。

詳しくは☞『卵巣の病気』96ページ  チョコレート嚢胞の悪性化


ヒルル: チョコレート嚢胞で経過観察を受けていた患者さんが、突然「じつは卵巣がんになっていました」と宣告されるときの驚きと悔しさは、想像を絶するものだと思いますが・・・では、チョコレート嚢胞の診断 って、どのようにして行われるのでしょうか?

詳しく診断のプロセス、問題ないと診断されたのに「がん化」してしまう場合を、教えてください。


チョコレート嚢胞 診断  に続く >


ヒルル「専門医 ドクター Q&A」は、ユーザーに対して診断を行うものではありません。ある事例に対して、がんの予防や早期発見、治療などについての専門医による助言を提供し、医学的にどのような選択肢があるのか理解を深めていただくための情報コンテンツです。また、投稿コメントが必ずしも投稿者自身の状態を正確に評価し、過不足なく記述されているとは限りません。 当サイト内で得られた情報はあくまでも参考程度にとどめ、個々の症状およびケースについては、しかるべき医療機関を自身の判断で受診してください。(ヒルル管理者)

toshiko.jyobo_md_prof.jpg
上坊 敏子(じょうぼう としこ)先生
婦人科腫瘍専門医
社団法人全国社会保険連合会 社会保険相模野病院 婦人科腫瘍センター長

詳しくは、先生紹介 >