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維新とフランス─日仏学術交流の黎明


ヒルル : トップブランドのシャネルだけでなく、東京大学でも大きな展示会をされたそうですが、そのことをお話しくださいませんか。

ポラック氏 : 東京大学総合研究博物館にいる西野嘉章教授、先生はフランス語も堪能な方で中世キリスト教の絵画の専門家です。先生が日仏外交関係150周年で、「日仏学術交流の黎明」というテーマで展示会を計画されていました。東大の資料だけでなく他所の資料も使うことを検討され、西野先生はフランス大使館科学参事官に相談したところ、ポラックという者が集めているということで、西野先生と私が出会いました。
西野先生に私のコレクションを見て頂いたところ、大変素晴らしい資料と判断されました。東大が持っている写真よりも状態が良く、また、未発表の資料も多数ありました。

ヒルル : 「未発表の資料」とは何だったのでしょうか? 日本の学術界では存在を知られていない=存在していない、ことだったと思いますが。

ポラック氏 : 勝海舟の手紙がそうでした。1868年(慶応四年)、勝海舟がフランス軍事顧問団団長のシャノワーヌ大尉に送った手紙です。当時のフランスは、徳川幕府に軍事顧問をしており、深い関係がありました。



それから、植物関係の資料を紹介できたことです。日本の有名な植物研究者である伊藤圭介博士が植物のラテン語名を横須賀に来ていたサバティエという海軍軍医に教わった資料がありました。この資料は、私のコレクションからではなく、私がフランスに行ってサバティエの子孫からお借りしたものです。つまり、国立国会図書館にあるのはコピーですよ(笑)
それから、馬場大介が記したことも、このときにわかりました。これらのことは、植物学を研究されている東大の先生方からも「大きな発見」と高い評価を受けました。

ヒルル : 研究者として、新しい発見は「喜び」ですね。

ポラック氏 : はい。 結局、450点を展示したのですが、そのうち私のコレクションから300点を出品させて頂きました。 これは私にとって、とても嬉しく、光栄なことでありました。東大が私のコレクションを評価してくれたわけですから。そして、今回の展示会で、私が4/5ほど執筆した二冊のカタログをつくって頂きました。ひとつは、日本語、もうひとつはフランス語です。
これは私の40年間が、東大に認められたことで、とても大事な意義のあることです。

編集後記:「この40年間、働いているのは資料を買うため」とポラック氏はキッパリと言い切る。日本で出会ったふたりの師の教えを、ポラック氏は40年経った今でも「情熱」をもって守り活かしている。

 「予算を超える金額であっても・・・躊躇なく購入し、きちんと集めること」
 「研究はつねに新しい資料にもとづいてするもの」

ポラック氏が手に入れた資料は単なる物ではない。過去を解き明かす「鍵」として、この熱い歴史家は生ある限り旅に出る。

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