体外受精前 マンモグラフィは大丈夫? 投稿の回答 土井卓子先生

fig1.gif投稿者:マンダリン(サービス業 40歳)

体外受精前のマンモグラフィについて


6月に体外受精を予定しています。採卵する少し前にマンモグラフィを受けると卵子に影響はあるのでしょうか? マンモグラフィは被爆量が多いと聞くので心配です。


土井卓子先生
土井卓子先生 回答:

マンダリンさん、
マンモグラフィは1回の撮影で3mGy未満と被爆量は非常に少なく、また他の放射線と異なり乳房をはさんで、そこにしか放射線はあたりませんので、卵巣にはほとんど影響しません。ですから、人工授精前に受けられてもまったく問題はありません。妊娠初期にマンモグラフィを受けても心配ないこともわかっておりますので、気にせずお受け下さい。

乳がんがあることに気が付かず妊娠するほうが心配です。検診を受け、大丈夫とわかって、安心して妊娠、出産に向かってください。それでも精神的に嫌な方は、エコーで乳房をチェックすることもよいでしょう。
マンモグラフィ, 湘南記念病院,かまくら乳がんセンター
写真:マンモグラフィを説明する土井卓子先生(かまくら乳がんセンターにて)

土井卓子(どい たかこ)先生
乳腺専門医
湘南記念病院 かまくら乳がんセンター
詳しくは、先生紹介
❒土井卓子先生記事:

❒その他参考になる記事:


乳がんの治療はどこまで? 乳房温存・切除手術〜最新の乳房再建手術

(第3回 湘南記念病院 かまくら乳がんセンター 土井卓子先生インタビュー)

■乳房温存手術と乳房切除手術

ka1.jpg乳がんの治療は、ステージ(がんの進行具合、ステージ0~Ⅳ期にわけられる)や、がんのタイプによって大きく異なります。
近年では、部分的に手術する「乳房温存術」が主流で、約60%を占めますが、たとえステージ0期でも広がりやすいタイプのがんであった場合、再発を心配される場合には、乳房すべてを摘出する「乳房切除術」が選択されます。

近年では、抗がん剤などを一定期間投与後、しこりを小さくしてから乳房温存術を行う場合もあります。女性にとって、乳房を失うのは精神的にも苦痛をともないます。

そのため、多くの患者さんは「できれば、乳房温存療法を」と希望されますが、乳房切除術にも、再発・転移の危険性が低くなる、術後に放射線照射をしなくて済むなどのメリットがあります。

乳房を全摘した胸のままでも、日常生活に支障はありません。補正下着などもあるので、おしゃれも楽しめます。

それでも、人目を気にせずに温泉に入りたい、乳房のない自分を受け入れられないといった場合には、「乳房(にゅうぼう)再建手術」があります。

  ■最新の乳房再建手術とは?

 乳房再建手術では、胸の筋肉の下にテイッシュエキスパンダーという水の入ったパッドを埋め込み、日数をかけて水を注入して大胸筋を伸ばし、最終的にはシリコンを入れます。

乳頭は形成し、アートメイクで色をつけます。病院によっては、テイッシュエキスパンダー留置は乳がんの手術と同時にできます。術後年数が経過していてもできるので、よく検討してからでも遅くはありません。

ka2.jpg温存療法でも、しこりのある部分は手術で切り取られるので、乳房にへこみができたり、治癒の過程での癒着で引きつれたりといった変形の可能性があります。

その場合も、自分の脂肪組織の元になる幹細胞を分離して注入するなど、さまざまな乳房再建方法があるので、
ひとりで悩まずにぜひ専門医に相談してください。

 執刀医であり、かつ、一人の女性でもある土井先生からヒルルユーザーにメッセージを頂けますでしょうか。

 自分の からだを 鏡に映してよく見る、さわる、検診で調べる。 乳房に対し、自分のからだに対し、どうか 「いとおしい」 という気持ちを持って、乳がんを予防・治療してください。 土井卓子

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土井先生の診察デスクに貼ってある メッセージ ポストカード

「でもね キミの チカラに すこしでも なりたいんだ」
「やっぱり えがおの キミが スキ」
「だいじょうぶ ボクが そのキモチを ぜんぶ うけとめてあげるよ」




「上手な主治医の選び方」「上手な主治医への質問の仕方」

(第2回 湘南記念病院 かまくら乳がんセンター 土井卓子先生インタビュー)

■しこり=乳がん、ではない場合も

触診で見つけたしこりで受診される方の8割以上は、線維腺腫、嚢胞、乳腺症、乳腺炎などの良性疾患ですが、自己判断は禁物ですので、少しでも違和感や不安を持たれたら、すぐに専門機関を受診してください

診断は、医師による触診、マンモグラフィ、エコーなどに加え、血液検査、病変部の細胞を細い注射針で吸いとって詳しく調べる「細胞診」、良性かどうか、がんのタイプを調べる「組織診」、「マンモトーム」、またCTやMRIといった検査を経て判断します。

IMG_3657.jpg乳がんと診断された場合、検査した病院で治療できるケースと、治療が可能な他の病院紹介してもらうケースがありますが、もちろん自分で病院を選択することができますし、他病院の医師に意見を聞くこともできます。これは「セカンドオピニオン」というもので、患者さんに納得したうえでより良い治療方法を選んでいただくために、医療の分野では一般的に普及しています。

主治医に対しても決して失礼な行為ではありませんし、「セカンドオピニオンを聞きに行きたいので、検査資料をください」と申し出れば、病院側は実費で用意してくれますから、他の病院で同じ検査を繰り返す無駄もありません。

■セカンドオピニオンという選択IMG_3506.jpg

セカンドオピニオンの選択は、「主治医の紹介」「患者会の推薦」「日本乳癌学会や各病院のHPからの検索」などの手段があります。

セカンドオピニオンでは、「診断は正しいか」、「他の治療法はあるか」といったことから、手術や入院の費用、病院設備の充実度の違いなども比べることができます。限りある時間内で望む答えを得るためには、まず自分が何を知りたいのかを明確にしておく必要があります。

乳がんになったショックでそれどころではないかもしれませんが、診察のときはメモを持参し、疑問に思ったことなどを書き留めて置くようにするといいでしょう。 最終的に、病院・治療法を決定するのは、自分自身であると心得てください。

※次回の土井先生インタビュー(「乳がんの治療はどこまで?」)は、平成22年1月20日(水)アップです。

「マンモグラフィって何?」「エコー(乳超音波検査)とその特徴って?」

(第1回 湘南記念病院 かまくら乳がんセンター 土井卓子先生インタビュー)

■マンモグラフィとエコーの違い

doi_02.jpg乳がんの検査には、「マンモグラフィ」と「エコー(超音波検査)」があります。マンモグラフィは乳房専用のX線撮影装置で、乳房を挟んで左右、上下の2方向から撮影します。しっかり挟んで圧迫しないと腫瘍の有無、腫瘍の境界線がわからないので痛むこともありますが、乳房が柔らかくなる生理直後の数日間内に受けると、比較的痛みが少ないようです。

マンモグラフィでは、触診では見つけることのできない小さな腫瘤(しゅりゅう=しこり)、乳がんの特徴のひとつである微細な石灰化、転移を起す力を持たない"非浸潤がん"を見つけることが可能で、乳がん検診の主流となっています。

■放射線の影響は?

doi_03.jpgマンモグラフィはX線を使用しますが、1回の被爆線量は3mGy(ミリグレイ)未満と非常に少ないので、繰り返し受けたからといって発ガンなどの心配はありません。

一方エコーは、超音波の反射波を利用して乳房内の腫瘤や構造の乱れの有無、腫瘤の中の状態や広がり具合も見ることができます。マンモグラフィでは判断しにくい若い女性の乳腺も見やすいという特長があります。マンモグラフィではまだしこりとして捕らえられない非常に小さな、がんも見つけやすいという特徴があります。

このように、2つの検査は得意分野が異なりますので、1年に1度、できれば2つとも受けましょう。

また初期でも乳がんがある場合、不妊治療などでホルモン療法を受けると悪影響を及ぼしますので、特に不妊治療前には必ず受けてください。

■乳がんは、自分でも見つけられる

乳がんは唯一、自分で触れて見つけることが可能な腫瘍でもあります。自己触診を心がければ早期発見につながるので、ぜひマスターして定期的に行ってください(図参照)。

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やり方は、4本の指を揃えて、指の腹で力を入れて乳房を圧すようにし、少しずつ指をずらして、しこりがないかどうかを探ります。胸の大きい人は、背中にクッションなどを当て、のけぞるように寝そべってするとやりやすいでしょう。石鹸で手のすべりがよくなっている入浴中に行うのも有効です。

そのほか、鏡に映った乳房にへこみやひきつれはないか、乳頭を軽くつまんだときに分泌物がないかなどもチェックポイントです。

※次回の土井先生インタビューは、こちら→「上手な主治医の選び方」「上手な主治医への質問の仕方」