「卵巣がんにはどんな種類があるの?」 「年齢によって症状は違うの?」

(第2回 がん研有明病院 瀧澤憲先生インタビュー)

■症状が表れにくい「漿液性(しょうえきせい)腺がん」

卵巣を構成する組織は、

  1. 卵巣の表面をおおっている表層上皮細胞と間質細胞
  2. 卵細胞の周囲を取り巻く卵細胞固有の間質細胞
  3. 卵巣皮質の中にある卵細胞
  4. 卵細胞を結合する組織、血管

の4つに分けられ、これらに発生する悪性腫瘍が「卵巣がん」です。

takizawa_03.jpg病理学的に細かくわけると20種類以上に分類されますが、卵巣がんの約80%は、(1)に発生する表層上皮性・間質性腫瘍と呼ばれるものです。

そのうちの半数ほどを占めるのが漿液性(しょうえきせい)腺がんで、多くは50歳以上の閉経後に発症します。

「おなかが張る、しこりを感じる」「急にウエスト周囲が太くなった」といったサインはあるものの、自覚症状が乏しいケースがほとんどで、ある程度進行して大きくならないと検査でも見つかりません。

何の前触れもなく、突発的に発症して、急激に大きくなるため、定期健診などがあまり意味をなさないのも特徴です。

■良性の卵巣疾患が、がん化するケースも

一方、粘液性(ねんえきせい)腺がん、類内膜(るいないまく)腺がん、明細胞(めいさいぼう)腺がんなどには"前駆病変(ぜんくびょうへん)"という、いわゆる予兆があります。

粘液性嚢腫(ねんえきせいのうしゅ)、類内膜腺腫(るいないまくせんしゅ=チョコレート嚢腫)、子宮内膜症といった良性の病気が、10年、20年の歳月を経て、良性から境界悪性腫瘍へ、さらに悪性腫瘍化へとたどるケースが多いです。

若いうちに月経異常や不正出血などで婦人科を訪れ、このような診断がくだされたら、ぜひ定期的に経過をチェックしてください

もちろん、良性のうちなら妊娠・出産も可能ですし、万が一卵巣がんになっても、妊娠を強く希望される方には、2つある卵巣のひとつを残すなどの細心の注意を払った手術が行われます。

子育ても一段落し、月経も終わった年代と、これから子供を授かろうとする年代では、治療方針は大きく異なります。病状の進行状況とリスクを考慮したうえで、どこまで機能を残すことが可能なのか、主治医とよく相談するといいでしょう

 

※次回の瀧澤先生インタビュー(「卵巣がんはどのように診断されるの?」「チョコレート嚢腫ってがんになる?」)は平成22年1月27日アップです。