News 切除不能進行再発大腸がん治療薬「アービタクス」 承認条件(全例調査)の解除

2008年7月、今後のがん薬物療法を担うとされる 分子標的薬 「アービタクス」が承認されてからすでに3年。承認時は日本国内において治験症例数が少ないという事から実績調査の承認条件が付されていたのですが、それ以後国内において2千名を超える切除不能進行再発大腸がん患者さんの貴重なエビデンス、解析結果により安全性および有効性が審査され、厚生労働省から承認条件の解除が、2011年9月に決定されました。

ヒルルでは、画期的な新薬の承認発表よりも、こうした承認後の緻密な解析結果事実(エビデンス)が、私たちにとって大変重要と思うので、お知らせいたします(ヒルル編集長)

以下、メルクセローノ株式会社 プレスリリース(原文)

News Release

報道関係各位

2011年9月7日 メルクセローノ株式会社

切除不能進行再発大腸がん治療薬「アービタックス®」、承認条件(全例調査)の解除について

メルクセローノ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:マーク・スミス、以下、メルクセローノ)は、ヒト上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)陽性の切除不能進行再発大腸がん治療薬「アービタックス®注射液 100mg」(一般名:セツキシマブ/遺伝子組換え)(以下、アービタックス)の承認条件となっていた製造販売後の使用成績調査(全例調査)に関し、厚生労働省から解除の通達を受けた ことを発表しました。

アービタックスは、ヒト上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)を標的とするモノクローナル抗体で、2008 年 7 月に切除不能進行再発大腸がんを対象に国内での承認を取得しました。その際の承認条件として 「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積 されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を 把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要 な措置を講じること」が付されておりました。

今回の承認条件の解除は、厚生労働省に提出した 2,006 名の切除不能進行再発大腸がんの患者さんに おける調査報告書の解析結果をもとに、アービタックスの安全性および有効性が審査された結果、決定されました。

アービタックスは標準的な化学療法に併用することで、KRAS 野生型の症例のみならず、登録された患 者全体において有意に生存期間を延長することが報告されています。このような生存延長のエビデン スを持つ唯一の分子標的薬として、切除不能進行再発大腸がんの個別化治療を前進させてきました。 なお、アービタックスは 2010 年 3 月、添付文書の改訂が行われ、切除不能進行再発大腸がんにおける 一次治療薬として使用が可能になっています。

研究開発/メディカル統括本部長の生沼斉は次のように述べています。「今回の使用成績調査の解除は、 アービタックスの有用性と安全性におけるいっそうの信頼を得る上で重要なステップと位置付けています。2008 年の上市以後、ご協力を頂きました医療関係者の皆様に心より感謝申し上げます。メルク セローノは引き続きアービタックスの適正使用を推進し、情報提供に努め、今後も患者さんによりよい治療を提供するために努めて参ります」


アービタックス(Erbitux)について
Erbituxは画期的新薬(ファーストインクラス)であり、EGFRを標的とするIgG1モノクローナル抗体です。Erbituxの作用機序は、 EGFRに対して特異的に結合するという点で従来の標準的な化学療法とは明確に異なります。この結合によって受容体の活性と それ以降のシグナル伝達が抑制され、正常組織への腫瘍細胞の増殖、浸潤と新しい部位への転移が抑えられます。また、化学 療法や放射線療法によって引き起こされた損傷を修復する腫瘍細胞の活性を抑制し、腫瘍内での血管新生を抑制するとも考えられており、それによって腫瘍の成長を全体的に抑えるとされています。

Erbitux の最も多い副作用はざ瘡様皮疹であり、皮疹の程度(グレード)と治療効果は相関があると報告されています。また、患 者のおおよそ 5%に過敏反応(hypersensitivity reactions)が発生する可能性があり、このうちの約半数が重度な症状を示す可能性があります。

Erbitux は 88 カ国で市販承認を取得しており、大腸がんの治療薬としても 88 カ国で承認されています。また、局所進行の頭頸 部扁平上皮がんの治療薬として、86 カ国で承認を受けています。メルクは 1988 年、イーライリリーの 100%子会社であるイムク ローンから米国、カナダ以外でのErbituxの販売権をライセンス供与されました。日本では、イムクローン、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、およびメルクセローノ株式会社が共同でErbituxの開発と実用化を進めており、ブリストル・マイヤーズ株式会社とメルク セローノ株式会社が販売提携をしています。メルクはがん治療の進展に引き続き尽力しており、現在は大腸がんや頭頸部扁平上皮がん、非小細胞肺がんにおけるErbituxの使用など、対象領域における新規治療法の研究に取り組んでいます。また切除不 能再発大腸がんの一次治療薬として、フォリン酸と併用投与される経口抗がん薬UFT®(テガフール・ウラシル配合)の権利も獲得しました。

その他のがん治療候補薬について
がん治療候補薬では、Stimuvax® (BLP25 リポソームワクチン)の非小細胞肺がんへの適応を研究しています。同剤は 2004 年 9 月に米国FDAから迅速承認許可を得ています。Oncothyreon Inc.(米国ワシントン州シアトル)から、同剤の世界各国での専売 権を供与されました。

さらに、新規抗がん剤 Cilengitide(インテグリン阻害剤)の第 III 相試験も行っています。同剤は膠芽腫、扁平上皮がん、非小細 胞肺がんの適応を対象としています。またインテグリン阻害剤は腫瘍とその血管系を対象として作用すると考えられています。

メルクセローノ株式会社について
メルクの医療用医薬品部門とスイスSerono (セローノ)が2007年1月に統合され、メルクの医療用医薬品部門として設立された Merck Serono(メルクセローノ)事業部(本社:スイス、ジュネーブ)の日本法人です。日本市場においては、同年10月1日より事業 を開始しました。メルクセローノについての詳細は www.merckserono.co.jp をご覧ください。

Merckについて
メルクはドイツのダルムシュタットに本社を置く、世界的な総合医化学メーカーで、2010年総売上高は約93億ユーロです。会社としての起源は1668年まで遡り、現在世界68ヶ国で事業を展開しており、グループ従業員総数は約40,000人(メルクミリポア事業 部を含む)。グループの事業活動は Merck KGaAのもとで行われています。全株式の 約30%が市場で取り引きされており、約 70%はメルクファミリーが合資会社を通じて保有しています。1917年、当時の米国子会社Merck & Co.の資産が接収された後、 同社はメルクからは完全に独立しています。

本件に関する問い合わせ先
メルクセローノ株式会社
 癌領域事業部PR
 小森真紀

Tel: 03-6853-8587