がんかもしれないと、心を苦しめる「サスペンス」状態

サスペンス (英語 : suspense ) とは、

 ある状況に対して不安や緊張を抱いた不安定な心理、またそのような心理状態が続く様を描いた作品をいう。単純に「観客の心を宙吊りにする」という意味でズボンのサスペンダーを語源だとする説明もある。 



ひょっとして私は、がんかもしれないと、

ネットで、がんの初期症状や自分に当てはまることを探す、 

探せば探すほど、がんに当てはまることが増え、 

不安が際限なく頭をめぐり、混乱して心を苦しめます。 


 まさしく「サスペンス」状態 



 ここで、心が宙吊りにされている方のために、 

武田 邦彦(たけだ くにひこ) 中部大学総合工学研究所特任教授のエッセイを紹介します(ヒルル編集長) 






 もう50年ほど前だったと思うけれど、「サスペンス映画」というのが流行したことがありました。アルフレッド・ヒッチコック等の映画監督が活躍して、「鳥」とか「サイコ」などの名画を連発したころです。私は少し種類が違うのですが、ヒッチコックの「ハリーの災難」が喜劇調でとても好きでした。 


 ところで、若いころの私は「サスペンス」と聞いてもそれが何を意味するのか分からず、映画を見てみるとミステリーもののような気がしていました。後にサスペンスというのが「どっちつかずの状態」と言う意味で、それが人間を苦しめたり、恐怖に陥れるものだということを知ったものです。 


 つまり、本当の不幸が来た時より、不幸が来るのではないかという中途半端な状態の方が、本当の不幸より辛いということです。 


 人生を気楽で、笑いが絶えない毎日を過ごせたら、どんなに良いでしょう。でも、もともと気楽で、笑いが絶えない人生なのに、辛く、ケンカしながらになることが多いものです。そして、それが不可抗力なら仕方がありませんが、何かの錯覚でわざと辛い人生にしているのだったら、すぐ思いなおせばよいのだから簡単なようにも思います。 


 先日はこのブログで「取り柄がないほうが良い」と言うことを書きました。「取り柄」は他人を痛め、自分が苦しむものですから、そんなことを気にせずに、「生きているだけ」、「他人にデディケーション」、そして「額に汗して」ということで十分だと思うのです。 


 今日は少し別の視点ですが、もう一つ「人生を苦しめるもの」を考えてみたいと思います。それが「サスペンス」です。サスペンス・・・つまり、どっちにも決まらずに中途半端になっているもの・・・は人間の心に大きな負担を与えます。それが決まるまでの時間、「どちらになるかな」、「こっちになったらどうしよう」と際限なく頭を巡ります。 


 頭の中を何かがぐるぐる回っているというのは、脳神経の細胞の間を絶え間なく神経伝達物質が流れることを意味していますので、それだけで疲れてしまいます。ついにその神経伝達物質が不足すると、考えはまとまらなくなり、考えたくなくなり、混乱し、気分が悪くなります。 


 それは当然で、頭の中だからはっきり自覚できませんが、「体が猛烈につかれているのに、まだ運動しようとする」と言う状態と同じだからです。徐々に体力が失われ、綿のようにつかれ、どうしようもなくなり、ついに倒れます。それと同じ状態がサスペンス状態のまま時間が経過する時の頭脳の状態なのです。 


 「決まっていない」というのが「自分が原因している」場合と、「他人や社会が決めてくれない」場合の二つがあります。自分が原因している場合でサスペンスに陥るのは「少しでも得をしよう」、「どちらが得か少し後に決めよう」などと考えているからで、「少しぐらい損をしても言い」と思えば、すぐ、今、決めることができます。そのほうがサスペンスで苦しむよりずっと「得」です。 


 また「他人や社会が決めるまで待たなければならない」というのはちょっと辛いのですが、その時には「悪いほうで決まった」と思い込んでおけば、それより悪いことにはなりませんので、思いがけなくプレゼントをもらったような気になります。入学試験などが典型的ですが、「落ちた」と思っていれば気が楽です。 


 もっと簡単な例が部屋の片づけで、面倒だと思って乱雑な部屋で生活していると、頭の中は「あれも片づけなければ」とか、「これはどうしよう」と常に考えているので、頭が疲れて結局は辛い人生へと進みます。 


 「靴を玄関に出しておくな」というのも同じで、玄関のそばを通るとき、無意識に「どの靴を履いていこうかな」と思うので、気が重くなるのです。靴を選ぶのが楽しいのは、いざ、外出する瞬間だけで、いつも見えるのは心の負担になります。 


 私がこのことを知ったのはサスペンス映画の意味が分かってしばらくたってからだったと記憶しています。それ以来、できるだけ即断即決、損してもあまり気にしないという人生を送り、その分だけ辛さが減ったような気がします。 


 学生に「レポートは期限を考えず、今からやったほうが良い」と言うのですが、学生はいつも提出期限を考えています。それが癖になると期限が来ないと力がでないということになりますが、逆に今すぐやるという習慣がつくと、すぐできるようになり、なんでも片付いているのですっきりした人生の時間を過ごすことができます。 


 1)できるだけ、宙ぶらりんにしておかない、 
 2)決めた結果が少し悪くても気にしない、
 3)どうしようもなくなっても、自分が生きていることで満足する。 


 そんな感じです。 


 (平成26年4月26日) 武田邦彦

【緊急告知】2014.1.25 第4回BCネットワーク乳がん経験者交流会@丸の内

皆様へ; 緊急告知です。 

2013年1月25日(土)1:30pmー、東京 丸の内にて、第4回BCネットワーク乳がん経験者交流会@丸の内が開催されます。 

司会ナビゲーターに、土井卓子先生(湘南記念病院かまくら乳がんセンター長)。 講演講師に、津川浩一郎先生(聖マリアンナ医科大学 外科学・乳腺・内分泌外科教授)、田村智英子氏(認定遺伝カウンセラー米国及び日本、家族性腫瘍カウンセラー、胎児クリニック東京、順天堂大学医学部附属順天堂医院遺伝相談外来) 

超豪華メンバーにもかかわらず、
参加した人みんなが 
ご自分のペースで交流できる「大きさ」ということで、 


 席数が 80 !! 


前回より増えてはいますが、、、 
まだ少し席があるということで、 お早めに。 

BCネットワークHPから申し込めます。  
(詳細はこちら)  
(参加申込みフォームはこちら
この会合及びBCネットワークへの質問は、post@bcnetwork.org まで

 対象は,乳がん・卵巣がん患者、経験者(ご家族に乳がん経験者保有者の方)となってます。 
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<開催概要>
 会合名:第4回乳がん経験者交流会@丸の内
 テーマ:正しい知識を伝えたい:遺伝性乳がん・卵巣がん
      ~皆で学び合い、語り合いませんか~

 日 時:2014年1月25日(土)13:30-16:00

 場 所:コニカミノルタ会議室 JPタワー内(JR東京駅徒歩1分)

 対象者:乳がん・卵巣がんの経験者、患者さん

 定 員:80名(申し込み順)

 参加費:1,500円

 内 容:    ナビゲーター 土井卓子先生(かまくら乳がんセンター長) 

【第一部】講義 「遺伝子検査と予防的治療について」  津川浩一郎先生(聖マリアンナ医科大学病院 乳腺・内分泌外科部長) 「遺伝カウンセリングについて」  田村智英子先生(日米認定遺伝カウンセラー、胎児クリニック東京) 

【第二部】交流会  お茶とお菓子をいただきながら講師の先生を交えて楽しく意見交換

土井卓子先生のナビゲーション楽しみです。席数少ないのでヒルルユーザーの方は、ご無理をなさらず、急いで、シッカリと 参加申し込みフォームへ(ヒルル編集長)


『ヒルル』より新年のご挨拶

謹んで新年のお慶びを申し上げます。 

いつも『ヒルル』をご覧いただき、ありがとうございます。おかげさまで2009年12月23日に誕生した『ヒルル』は、女性特有のがんを中心に皆さんとご家族のための、がん予防情報を皆様に提供させていただいて、5年が経ちました。本年もどうか変わらぬご支援をお願いいたします。

 (2014年 元旦/ヒルル スタッフ一同)


 

【緊急告知】土井卓子先生総合司会「怖がらないで!!乳がん 不安と上手につきあう」いきいき市民健康講座

11月17日(日)横浜の県民共済みらいホールで、湘南記念病院 かまくら乳がんセンター 土井卓子先生の総合司会でオープンレクチャー、いきいき市民健康講座「怖がらないで!!乳がん 不安と上手につきあう」が開催されます。 
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聖路加国際病院ブレストセンターの山内英子先生による講演「乳がんって遺伝するの?」、横浜南共済病院 乳腺外科 加藤直人先生による講演「乳がんリスクを減らすためにできること」

最前線の医師による情報をわかりやすく受け取ったあと、

 臨床心理学博士 中本テリーさんによる講演「乳がんと不安~心のサポート~」、舞踏家黒住知央さんダンス、こころとからだ、で怖れと不安をコントロールする術を学べます。 

土井先生のナビゲーションスキルは、いつもながら敬服です。
楽しみな講座になることでしょう(ヒルル編集長) 

 開催日時:  2013年11月17日(日) 13:00 ~ 15:50
 場所:  県民共済プラザビル1階 県民共済みらいホール
 参加費:  無料
 定員:  280 名
 申込期間:  9月30日(月) ~ 11月15日(金)

 >ネットでの申し込みはコチラから、    https://www2.astrazeneca.co.jp/CSM/app/pc/seminar/detail/13

 >詳細PDFはコチラ、


みなさんから土井先生へお伝えしたいことがあれば、ヒルルにツイートしてください。声を届けます

☆ 山内英子先生の最新刊 ☆


【お知らせ】第3回 乳がんタウンホールミーテイング@大阪

関西地方にお住まいの方々に朗報! 2013年8月3日、BCネットワークの夏恒例イベントが【大阪】で開催されます。 (↓クリック拡大)bcnetwork_0308m2013.jpg 
第1回横浜→2回は東京と来て、今回 OSAKA でBCネットワークの夏のビッグイベントが開催されます。もともと 代表の山本眞基子さんは関西出身、大阪の開催実現は「待ちに待った」もの。

山本さんは現在ニューヨーク在住 「すべてがはじまるNYC」 世界の情報発信地の息吹を、日本のトレンドの発信地OSAKAに持ってくるには、BCネットワークも相当の準備が必要だったのかも。

 みなさん、万を期しての大阪開催、是非、足を運んでください。


第3回 乳がんタウンホールミーテイング@大阪
 『乳がん治療最前線』 
 ~治療法の事、治療後の事、心のケアーの事~ 

開催日:  2013 年8月3日(土) 
開催時間:  13:00 - 16:00 (12:00 受付開始)
会場:    緊急災害医療棟 3階講堂 
〒104-0044 大阪府 大阪市 中央区法円坂2−1−14
会費:  500円ニーマナイマのヒマラヤ産バスソルト←6,090円 ヽ(^0^)ノを全員に無料進呈特典付)
主催:  乳がん患者団体 BCネットワーク 
協力: 国立病院機構 大阪医療センター & ジャムズネット東京(特定非営利活動法人)  
協賛:アストラゼネカ(株)、中外製薬(株)、エーザイ(株)、 GSK(株)、 コニカミノルタ(株)、公益財団法人『正力厚生会』、大鵬製薬 (株)、武田薬品(株) 広告: アデランス(株)、中外製薬(株)、日本イーライリリー (株)、サノフィ(株)(ABC順)

■申し込みは、BCネットワークのHP から
ご質問は、post@bcnetwork.org まで

イベント内容を、すこし。

 総合司会は、 
元朝日放送 現フリーアナウンサー 関根友実 さん

 大阪医療センター外科医長・乳腺外科科長 増田慎三先生の、 
『乳がん治療最前線』 

松下記念病院乳腺内分泌科部長  山口正秀先生
『乳がん治療中、通院中に注意したい事』 

 大阪大学付属病院、オンコロジーセンター 谷向仁先生
『がんが及ぼす心への影響』 (ヒルル的にはとっても興味アリ) 

毎回楽しみな 参加者型デスカッション 前述の先生方に加え、 
大阪医療センタ−外科・乳腺外科医師 増田紘子先生
外務省医務官 吉田常孝先生
山本眞基子代表が加わります。 

ナビゲーターは、外務省医務官 仲本光一先生 \(^O^)/ 

「患者力」というテーマの第1回@横浜での、 
かまくら乳がんセンター土井卓子先生との共演
、、、とっても素晴らしかった。

 「(患者さんの)お姫様状態」

との名(迷?)言をサラリと言い当て、 
会場を一瞬でホンネで語り合う雰囲気に変えた、 
関東が誇る、言葉に力のある先生です。 


ディスカッションで語られるトピックスの一つは、
米女優アンジェリーナ・ジョリーさんによって
関心が高まっている、、、BRCA変異遺伝子検査

、、、じつは山本さんは体験者なのです。

この機会に、お話しを聞いてみたい方も多いでしょう。


それと、

女性が豊かで素晴らしい人生を送るために「美容」も! 

美容ジャーナリスト山崎多賀子さんによる、
医療ウイッグ とメイクアップショー 
モデルは、イベント当日希望者の中から選考します。
ヒルルを見て申し込んだアナタがモデルになってくださいね。 

 うーん、OSAKAでの開催、期待大です(ヒルル編集長)

【後日談】大盛況、大成功でした\(^O^)/
太陽のような母性を感じるね、山本眞基子代表

仲本光一先生のトークは、周りの人を色鮮やかにしてしまう。

計算された巧みワザ、

BCネットワークの良さがわかりやすく

私たちに届けられたのでした。




【関連記事】
・第1回横浜タウンホールミーティング 動画レポート | 土井卓子先生(湘南記念病院)
 






保坂隆先生 監修『がんになったとき、 親に伝える? 伝えない? どう伝える?』PDF無料ダウンロード

ノバルティスファーマ株式会社のWebsiteから、聖路加国際病院精神腫瘍科 保坂隆先生 監修 小冊子『がんになったとき、 親に伝える? 伝えない? どう伝える?』PDFファイルが、無料ダウンロード できます。

  『がんになったとき、 親に伝える? 伝えない? どう伝える?』表紙 

全36ページから成る小冊子の中に、ヒルルにおいて 精神腫瘍医インタビューを担当してくれた湊谷敦子さんの体験談が保坂先生の監修のもと収められています。 是非、ご一読を。

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(女性に "豊かで素晴らしい生活" をおくって欲しいと想って運営開始したヒルルです。それを体現している湊谷さん、とても嬉しく思います! ヒルル編集長)

『がんになったとき、 親に伝える? 伝えない? どう伝える?』
監修 聖路加国際病院精神腫瘍科医長 聖路加看護大学臨床教授 保坂隆先生 
企画 がんを語りあう広場プロジェクト 

 >>>PDF無料ダウンロードはコチラのページから http://www.novartisoncology.jp/material/download05.html

『がんになったとき、 親に伝える? 伝えない? どう伝える?』湊谷敦子さん体験談
(↑クリック拡大表示)

聖路加国際病院精神腫瘍科、聖路加看護大学院 臨床教授 保坂隆先生保坂 隆(ほさか たかし)先生
 聖路加国際病院精神腫瘍科、聖路加看護大学院 臨床教授
 ご専門は、サイコオンコロジー(精神腫瘍学)、リエゾン精神医学
 詳しくは、

ヒルル【おすすめ品目リスト】作成しました。〜GW中、あとでもご活用ください

 
ゴールデン・ウィーク真っタダ中
行楽に行かれる方も多いと思いますが
懸案事項の整理をされる方もいると思います。

必要なものを揃えたりとか
調子が悪くて気になっていた、からだのこと
(。。。外来はお休みかぁ、残念)


ショッピングモールに行く、書店に行く、
とりあえずネットで情報を仕入れる 
。。。?


ヒルルで『おすすめ品目リスト』を作成しました。


 ・専門科別にまとめたヒルル応援ドクターの著作リスト
  ー婦人科ー 
   瀧澤憲先生(がん研有明病院)
   上坊敏子先生(相模野病院)
  ー精神腫瘍科ー 
   大西秀樹先生(埼玉医科大)
   保坂隆先生(聖路加国際病院)
  ー乳腺外科ー 
   土井卓子先生(かまくら乳がんセンター)

 ・生理用品・性交痛ケア
 ・口腔ケア
 ・毛染め(天然素材)
 ・お肌にやさしい◎
 ・パジャマ(入院用)
 ・料理
 ・災害時の備え
 ・ペット関連
 ************
 ・編集長キャンプ用品

比較的トラブル少なめネット通販amazonで購入できる様にしてあります(ただし注文の際に送料には、ご注意を!)

生活に役に立つ品目リストです。 ぜひ、ご活用ください。

また、ご意見があれば、投稿欄、FBにどうぞ
(「がん」が治るとか、な商品はダメですからね ヒルル編集長)

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瀧澤憲先生の『「子宮がん」と言われたら...』まえがき

瀧澤憲先生の新刊本が発売されました。脱稿した後、瀧澤先生は「まえがき」「あとがき」にそれぞれに12時間費やして延べ24時間かけて作成したとのことです。 原文そのまま掲載します(抜粋なんかしたら不敬ですよね (^_^; ヒルル編集長)

『「子宮がん」と言われたら...』 あとがき  は、>>>こちら

瀧澤憲先生(がん研有明病院)

『「子宮がん」と言われたら...』という本を書くことに決め、いざ書くぞと考えたとき、どういう視点で書くかということが問題だと思いました。難しく書くことは、むしろやさしいけれど、患者さんの視点で書くとなると、どんなことが知りたいか、どんな治療を選びたいかに思いをはせることにしました。 

子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんの二種類がありますが、両方ともにからだのどのがんより確定診断しやすい病気であり、したがって早期にみつかりやすい、すなわち「生き死に」という観点から見ると治りやすいがんと思われます。

しかし、女性にとって重要な生殖(子孫を残す、遺伝子を残す)機能を失う可能性がある病気であり、若い女性にとって「生殖機能を失うこと」は、自分自身の Identity(自我、自尊心、生きる価値など)を揺るがす大問題です。 

子宮頸がんも子宮体がんも、手術、放射線治療、化学療法を駆使すれば、ほかのどのがんより治りやすく、病状(進行状態)に応じた個別化治療もどのがんより進んでいます。患者さんが、最善、最適な個別化治療を希望し、担当医と相談するためには、正確な病状認識が不可欠です。そのための検査、診断、治療方法などについての知識と理解がある程度は求められることになります。

すなわち、適切な個別化治療を選ぶために、病状に見合う最善の局所治療(子宮頸部または子宮体部病巣の治療)と、病気の広がり方を予想した再発予防のための主治療後の補助療法(手術や放射線治療後の化学療法など)についてもある程度の知識理解が求められます。 

どの患者さんにとっても、子宮がんが治らなければ膀胱や直腸などの骨盤内臓器が壊れてしまいます。たとえ洋服で病気を隠すことができても、著しく不都合な症状(尿や便が漏れるなど)に直面すると、QOL(生活の質)が悪くなります。ヒトとしての尊厳を保ち、再発なく有意義な人生を送るために、今や、患者さんやご家族にとって、必死で情報を集め、勉強しないと最善な個別化治療を選べない時代になってきたのです。 

私たち婦人科腫瘍医にとって、婦人科がん治療をする上での大切な心構えと課題は、「生き死に」を議論する前に、「生殖機能を失うかもしれない若い女性の Identity をどのように保つか、あるいは立て直すか」ということと、「骨盤内局所病巣を制御してQOLを良好に保つことを最優先する」ことの二つと考えています。 

本書では、私が、外来や病棟で、患者さんと診断・治療について話し合っている内容について、できるだけわかりやすい文章にしたつもりです。これでも難しいという批判があることは承知していますが、是非ご一読いただければ幸いです。 

2013年  1月 
瀧澤 憲
  瀧澤憲先生(がん研有明病院婦人科顧問)
瀧澤  憲 (たきざわ  けん)先生
婦人科腫瘍専門医
公益財団法人がん研究会 がん研有明病院 婦人科顧問
詳しくは、>先生紹介

瀧澤憲先生の『「子宮がん」と言われたら...』あとがき



2013年2月、瀧澤憲先生が『「子宮がん」と言われたら...』(保険同人社)を書き上げました。ヒルルでは著作紹介する前に、瀧澤憲先生が、それぞれ12時間かけて健筆をふるった「まえがき」と「あとがき」を掲載します。 

著作の内容、瀧澤憲先生の長年の臨床経験の葛藤、患者さん、この本にたいする想い、お人柄などすべてが凝縮された文章です。 原文のまま、どうぞ。 (「あとがき」からの掲載は私の判断です ヒルル編集長) 




婦人科のがん患者さんの一人ひとりについて、特に進行がんで紆余曲折を経てターミナルケアを迎える患者さんを思い起こすと、皆それぞれにドラマが満載で教えられることが多いです。 

天上から地底に伸びる「希望」のカスケード(滝のようなもの)を大きく登ったり、小さく下ったりの連続の中で、一喜一憂します。難しい手術を上手く乗り越えたお顔、再発後のセカンドライン化学療法で元気を取り戻したお顔は、本当に嬉しそうで、私自身も元気づけられ、勇気をもらえます。 

患者さんには、なるべく真実を伝えたいと考えて婦人科がん診療に取り組んできましたが、それがほぼ実行できたのは後年の20年です。真実を知ること、その上で現実を乗り越えることは普通の患者さんにはつら過ぎるのではないか、マイルドに変換して説明することで闘病意欲を強める方がベターだと考えていたのです。

しかし、婦人科がんの治療は、この40年を振り返ると随分進歩し、成績も良くなりました。そして、進歩した治療方法は必ずしも心身に優しい治療とはいえず、それ自体が負担をともなうため、患者さんと医師は情報をわかち合って、前向きに決定しなければならないのです。 

真実を告げながら、適切な治療方針を決定するのは、「希望」のカスケードが下降するに伴い難しくなります。患者さんの希望する治療を実施することは、私の目からは不適切と思われることが多くなります。私は「同情」と「共感」を区別しながら話すことが大切であると感じます。

「同情」では、「私ならこうするという自己中心的な意図が表出されやすく、患者さんのつらく苦しい気持ちに寄り添えない」ことがあります。「共感」では、「患者さんが何を望んでいるかを意識し、その希望をかなえたいと努めると、患者さんも心を開く」ことが多くなります。患者さんは目の前の選択肢が少ないと、不利益が多い治療を希望することがありますが、「共感」しながら、「(残された時間のうちで)患者さんのやりたいことをするために」いま選択すべきは何かという視点から話し合うと適切な選択ができます。 

「真実を話すこと」「共感して話すこと」をしながら、つらい治療を反復していると、当初は「どうせ助からないのだから」と投げやりな言葉を口にしていた患者さんも、次第に脱皮して、不幸にしてターミナルを迎えても聖女のような微笑みを見せてくれる方が多くなります。

がんが早期に見つかって完治する患者さんも多くなりましたが、治療前には普通に持っていた機能を失わざるを得ません。時に、厄介な後遺症とともに生活していかねばならないこともあります。そのような患者さんに、

私の好きな言葉「Durch Leiden Freude <苦悩を越えて歓喜に至れ> 聴力を失っても作曲を続け、タクトを振ったベートーベンの言葉」と、

ナチスの強制収容所から生還し、『夜と霧 − ドイツ強制収容所の体験記』を著した ヴィクトール・エミール・フランクル の「あなたが人生に絶望しても、人生はあなたに対する希望を捨てない。人は誰でも、固有の生きる意義、意味を持っているのだから」

を贈ります。

 2013年  1月
 瀧澤 憲

『「子宮がん」と言われたら...』 まえがき は、>>>こちら 

瀧澤憲先生(がん研有明病院婦人科顧問)瀧澤  憲 (たきざわ  けん)先生
婦人科腫瘍専門医
公益財団法人がん研究会 がん研有明病院 婦人科顧問
詳しくは、>先生紹介

瀧澤憲先生 最新情報

卵巣がんに関する取材で大変お世話になった瀧澤憲先生の近況を、おしらせいたします。

取材当時、 がん研有明病院 副院長兼レディースセンター長の重責を務められていましたが、昨年2012年10月より、同院顧問に就任されております。

がん研有明病院での瀧澤憲先生のスケジュールは、 

2013年3月いっぱいまで 月・木曜日が外来、金曜日がセカンドオピニオンです。この3月までは火曜日に手術も行いますが、4月以降は手術の未廻りのみで瀧澤先生は手術には入りません。 4月からは、月・木が外来、火曜日は手術の未廻り、金がセカンドオピニオンとなっています。 そして、水曜日は1日中、飯田橋にある免疫細胞療法の 瀬田クリニック東京 にいらっしゃるとのことです。


 もう一つ最新ニュースです。

先月の2013年2月に瀧澤憲先生の新刊本『「子宮がん」と言われたら...』 が発刊されました。

 
内容は、

子宮がんには子宮頸がんと子宮体がんがありますが、原因、診断・治療法、好発年代なども異なります。本書では二つのがんについて別個に明らかにし、進行期の考え方、進行期別の治療法について詳しく紹介しています。

お医者さんから聞いた話をもう一度確かめたり、整理するのにも便利、と好評。


是非、ご一読を!(ヒルル編集長) 

 

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