おっぱいのしこり、良性か悪性か・・・・(2/2) 矢形寛 先生(聖路加国際病院)

(第6回 聖路加国際病院 矢形先生インタビュー)

ヒルル: 患者さんが前の病院から資料を頂いてこない場合には、どのような対応をなされてますか?
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矢形先生:資料がない場合は、他の病院でどういう検査をされたか、どう言われたかなど、まずはお話を聞いて、その病院から資料を持ってくることができるかどうかを訊きます。しかし、どうしても資料を取りに行きたくないという方もいらっしゃいます。その病院の診断結果にまったく納得がいかなかったり、そうであればしかたないのですが。あるいは、逆に「こちらから資料を取り寄せていいですか?」と、ご本人に了承を頂いた上で、前の病院から資料を取り寄せるという対応をすることもあります。やはり、資料を持参して頂けるなら、それが一番いいですね。

ヒルル: どうして資料が必要なんですか?
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矢形先生:たとえば他の病院で悪性の疑いがあると言われて来られたケース。その病院が何を元に悪性の疑いがあると言ったのか確認できないまま、こちらで検査してみたところ「異常ない」という場合に、向こうが本当は関係ないものを「悪性疑い」と言ったかもしれないですし、もしかしたら向こうの方が診断能力が高くて我々が見過ごしているのを見つけて「悪性疑い」と言った可能性もまったくないとはいえません。ですから、資料があると、私たちはより焦点を絞り込んだ検査ができるわけです。その結果、患者さんに「あそこの病院で言っていたのは、まったくの良性で大丈夫ですよ」と言うことができますし、逆に「ある」という場合には「やっぱり、おかしいですね」ということになるでしょう。資料がなければ、それに基づいた正確な確認の上での検査ができないので、やはり持ってきてもらうのが一番いいですね。
ヒルル: 矢形先生、本当に、ありがとうございました。矢形先生、ヒルルのユーザーと女性の皆さんに、メッセージを頂けますか?
矢形先生:乳がんは、現在日本女性のがんの中でもっとも多い病気です。若い方にも多いのですが、高齢になっても乳がんはなくなりません。定期的な検診にはぜひ行っていただきたいと思います。それから、何か異常があって病院へ行くときはいろいろと不安があるかもしれません。わからないときには医師に直接たずねてください。ご自分が納得し、医師と良好な関係を築きながら検査を受けていくことが大切だと思います。
ヒルル「専門医 ドクター Q&A」は、ユーザーに対して診断を行うものではありません。ある事例に対して、がんの予防や早期発見、治療などについての専門医による助言を提供し、医学的にどのような選択肢があるのか理解を深めていただくための情報コンテンツです。
また、投稿コメントが必ずしも投稿者自身の状態を正確に評価し、過不足なく記述されているとは限りません。当サイト内で得られた情報はあくまでも参考程度にとどめ、個々の症状およびケースについては、しかるべき医療機関を自身の判断で受診してください。(ヒルル管理者)

乳腺症・・・。のう胞(2/2) 矢形寛 先生(聖路加国際病院)

(第4回 聖路加国際病院 インタビュー)


ヒルル:しこりと間違えられやすいのは、どのような場合なんですか?
100517_01.jpg矢形先生:通常の診断では、超音波検査をします。この検査では、白と黒で色を分けて影を見ていますが、がんものう胞も黒くうつります。のう胞の場合、特に真っ黒なのでがんと見分けがつきます。何か細胞が入っていると、灰色っぽくなったり白っぽくなったりするんです。ところが、中には本当に黒っぽくうつる、がんもあります。だから、それを間違えてはならない。これは病院側の問題なのですけれど。怖いのは、いびつなのう胞と思っていて、のう胞ではなかったときです。ただ、間違いなくのう胞だという前提であれば、これは心配ありません。あきらかに病院で「これは、のう胞です」とキチッと診断がされているのであれば安心してよいけれども、そうでない場合は、一応、訊いておいた方がいい。
ヒルル:いびつということは、あり得ることなんですね?
矢形先生:そうですね、十分あり得ますね。我々もはじめての超音波検査で、クシャクシャの、いびつなのう胞を見るとドキッとすることもありますよ。経過を追っていれば、ぜんぜん心配ないですけどもね。医師が心配であれば、キチッと針を刺して細胞なり組織を採って確認します。それは医師の判断です。
ヒルル:マンモグラフィは使わないのですか?
矢形先生:のう胞がたくさんある人はね、マンモグラフィという検査で、がんを見つけることは難しいことが多いですね。だから、超音波検査をやってもらった方がいいかと思います。若い人は乳腺組織が豊富なので、マンモグラフィで見えにくい場合が多いです。
ヒルル:どうして、見えにくいのですか?
矢形先生:組織が豊富だと、中が透けて見えないのです。がんも組織ですから、組織と組織が重なってしまうと見えなくなってしまう。みんながみんなそうではなく、きちんと見える人もいますけどね。
ヒルル:マンモは先生によってよく使う方、使わない方と別れるのではないかと思いますが。

100517_02.jpg矢形先生:いえ、マンモグラフィはやはり基本です。検診としては唯一、世界的に有効性が証明されているものなので、通常は撮ることが多いですね。ただ、先ほど言ったように乳腺組織が豊富な人や、のう胞がある人はわかりにくい場合もあるので、人によって使い分けることもあります。ただ、一度はマンモグラフィを撮ると思います。マンモグラフィでしかわからないものもありますから。
ヒルル:マンモグラフィでしかわからないものとは?
矢形先生:たとえば、「石灰化」と言われる、白い点々です。超音波でも見えるものあるのですけれど、マンモでしかわからないものも結構ありますから。 いずれしても、のう胞の中にしこりの成分、組織がある場合は、病院でキチッと確認しなければならないですね。
ヒルル:けんけんさんのお母さん世代の人たちに何かアドバイスを。
矢形先生:閉経後の人、生理が終わって、のう胞ができる人は稀です。からだの中で女性ホルモンが減って乳腺を活発に活動させようとすることはなくなっていきますので、そこで何か水を含むしこりが出てきたときは要注意ですね。
ヒルル:矢形先生、ありがとうございました
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乳腺症・・・。のう胞(1/2) 矢形寛 先生(聖路加国際病院)

(第3回 聖路加国際病院 矢形先生インタビュー)

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ヒルル: けんけんさんは、のう胞があることで不安になっていますが。
矢形先生:基本的に、のう胞は放っておいていいものです。
100423_01.jpg乳腺の細胞というのは分泌物を出すという役割を果たしていますね。分泌物を出そうとしているのに、それが乳管に沿って出て行かなければ溜まってくるわけです。そうすると、所々に袋を作っていって水の溜まりができます。1カ所だけできる人もいれば、何カ所もできてしまう人もいます。乳管が膨らんだもので、それ自体はがんでないので、放っておいていいものなのです。
ただし、のう胞の中に放っておいてはいけないものもあります。のう胞で水の溜まりを作っているのは同じでも、その内部に何かしこりの成分がある場合です。たとえば、乳管内乳頭腫というものがあります。この場合は、袋を作って自ら分泌物を出して増殖していきます。これは良性なのですが。あと、のう胞内乳がんというのもあります。やはり同じように袋を作りながら、水を溜めながら、がん細胞が増殖してゆく、しこりの部分も増えてゆく。のう胞の中に、そういったしこりの部分がある場合は、注意が必要です。
ヒルル: 乳管内乳頭腫と、のう胞内乳がんの明らかな違いは?
矢形先生:この2つは、実は見分けるのがなかなか難しいのです。だから、組織を採取して診断しなければならない。確かに全般的な違いはあるのですが、絶対的なものではないので、これは乳腺の専門医にかかって組織をとってもらい診断を確実にする必要があります。
ヒルル: この場合、年齢は関係しますか?
矢形先生:年齢によっても違います。30代ならば、だいたい良性の乳管内乳頭腫のことの方が多いですね。逆に60代、70代、80代となってくると似たようなものがあっても乳がんである可能性が高くなってきます。ただし、これも絶対ということではありません。
ヒルル: けんけんさんは、さらに詳しく調べる必要がありますか?
矢形先生:単なる、のう胞とハッキリわかっている場合は、針を刺す必要もないし、基本的には放っておきます。ただ、しこりっぽくなってきて気になる場合は針を刺して水を抜くことがあります。でも、また出てくることがありますよ。その場合には、針の刺し損かもしれません。
ヒルル: けんけんさんは、いびつなのう胞ということで心配されてますが。
矢形先生:投稿をみると、のう胞があって、経過観察をしている。その中にいびつなのう胞があって不安で仕方ないということですが、このようなことは、ときどきあります。
ヒルル: どうしてですか?
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矢形先生:水が溜まって膨らんでいるときは、均等に押し出しますので丸くなります。しかし、それが萎もうとしたときには、皺になりますね。緊張が解けて吸収傾向にあるときは、こうした、いびつな形をとることがあります。前からあるのう胞で、それがちょっといびつになっただけであれば、放っておいていいと思います。ただし、ときに、通常のしこりをのう胞と見間違えることもあるので、その点は注意が必要です。

乳腺症・・・。のう胞(2/2に続きます

ヒルル「専門医 ドクター Q&A」は、ユーザーに対して診断を行うものではありません。ある事例に対して、がんの予防や早期発見、治療などについての専門医による助言を提供し、医学的にどのような選択肢があるのか理解を深めていただくための情報コンテンツです。
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病気ですか? 乳首から液体が...(2/2) 矢形寛 先生(聖路加国際病院)

(第2回 聖路加国際病院 矢形先生インタビュー)

ヒルル: 次に、イチバン気をつけるべきことを教えてください。
sei1jpg.jpg矢形先生:一番気をつけなければならないのは、どちらかの乳房の1つの穴から茶色っぽい(赤っぽい)分泌物が出ている場合です。これはもうキッチリ病院に行ってもらって、シッカリと確認してください。ただし、出産後にミルクと共に、時々ちょっと出てくることがあるんですね。そういうときはたいてい大丈夫です。でも、この状態が続くときは、一応、病院に行ってチェックしてもらった方がいいでしょう。
ヒルル: 茶色っぽいものは何ですか?
矢形先生:乳管の中にがん細胞が増殖してくると、がん細胞の組織は非常にもろく、そこに作られてくる血管が破綻しやすいのです。キチッとからだの構築をするのではなく、てきとうに増殖してきて、その中に血管がどんどんと作られるので、非常にもろくなります。もろいということは、壊れやすくて血液が溜まりやすいのです。それがまわりの水などと混じって出てくるのが、茶色い分泌物です。
ヒルル: 茶色っぽい=がん、なんですか?
矢形先生:いいえ、がんでなくても、そういうことはあります。良性の何か小さなものができても、そこの血管が破綻すると、血液が溜まって、まわりの水と血液が混じりあって、茶色っぽいものが出てくることがあります。基本的な考え方を言えば、一番安全なのは、両側から、あるいは複数の穴から出ている場合、特に乳汁状のものは大丈夫、黄色透明であっても複数の穴から出ているものは大丈夫なものが多いということになります。
ヒルル: 何か異常があったら検診を受けに行くべきですね。
矢形先生:まず「検診」と「病院に行く」というのは、全然ちがうスタンスです。検診というのは「特に私はなにも症状がない」という状況で検診に行きます。もし何か異常があったら、すでにそれは検診ではなく「病院に行くべき」という状況です。
ヒルル: 病院に行かなければいけない状況は、ほかにどんなときでしょうか?
sei2.jpg矢形先生:乳房の一部が、ちょっと凹んでいる「えくぼ症状」というのがあります。これは下にがんができて組織を中にギュッと引き込む症状です。つまり皮膚が凹んでいるわけです。それから、どこか一部の皮膚が赤くなる「発赤(ほっせき)」ができたり、乳房全体が赤くなってきたりしたときは、病院に行った方がいいですね。
ヒルル: 赤くなった場合も、がんですか?
矢形先生:炎症、つまり乳腺炎かもしれません。しかし、すごく質(たち)の悪いがん、炎症性乳がんということもあります。実は若い人で、炎症と間違われて見つけるのがおくれてしまう人がいるのです。特に産褥期で、乳房が赤くなってきたとき、「ああこれは乳腺炎だ」と、何ヶ月も炎症の治療だけ行われている場合があります。どうも治らないということで乳腺科に来たときは、がんとしてかなり進行している、ということがあります。産褥期のこうした赤い発赤乳腺炎の場合がほとんどです。しかし、その中に炎症性乳がんという、変わったタイプのがんが隠れているので注意が必要です。
ヒルル: そのほかには、何か気をつけたい症状はありますか?
矢形先生:若い人にはあまり出ないのですが、乳頭の表面が荒れるケース、「びらん」と言いますけども、ちょっとタダレてきたという場合は要注意ですね。がんの症状である可能性があります。がんの場合は、乳管をずっと育ってきて、行くところがなくなり乳頭の表皮に拡がった結果。表面のきれいな表皮がなくなり荒れた状態になります。パジェット病という名前がついた、がんです。そういう場合は、皮膚科ではなく乳腺科ですね、皮膚科の先生も見逃さないとは思いますが...。
ヒルル: ありがとうございます、矢形先生。


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病気ですか? 乳首から液体が...(1/2) 矢形寛 先生(聖路加国際病院)

(第1回 聖路加国際病院 矢形先生インタビュー)

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ヒルル: これは乳汁なのでしょうか?
矢形先生:左の乳首から液体が出て、白い布などにつくと黄色く見えるということですから、おそらく黄色透明な液体であり、乳汁ではなさそうですね。
ヒルル: 何かの病気なんでしょうか?
001.jpg矢形先生:病気が隠れている可能性がないとはいえません。しかし、はるなさんの年齢が22歳なので、がんであるという可能性はきわめて低い。20代前半で乳がんになる方もいますが、きわめて稀なので、すぐにがんを心配する必要はないと思います。ただし、同じ状態がさらに2、3ヶ月続くようでしたら、一応、病院に行って確認したほうがよいと思います。
ヒルル: でも、6週間、7週間とこの状態が続くとやはり心配になりそうですが...
矢形先生:たしかに心配した方が良いケースもあります。実は乳頭には十数個の穴があります。そのうちの1つの穴だけから液体が出ているなら、何らかの病気が隠れている可能性があります。この場合は病院に行って超音波などの検査を受けていただいて、何かおかしなものがないか確認してもらった方が良いと思います。複数の穴から出ている場合は、あまり心配する必要はないと思います。
ヒルル: 液体の出る穴がひとつの場合は病院へ、複数では心配する必要がないというのは、どうしてでしょう?
002.jpg矢形先生:何が心配かというと、がんです。がんというのは、あるひとつの乳管から作られます。そうすると、そこの乳管の中をがんがはっていくので、ほかの乳管には移っていかないのです。だから、通常、一カ所だけから出てきます。

ヒルル: たいへん参考になりました。似たようなケースについてもっとお話しいただけますでしょうか?
矢形先生:たとえば乳腺症というものがあって分泌物を作ることがあります。あるいは若い人で乳房が発達していると、乳腺の組織で分泌物を作る傾向があります。乳房全体として作っている場合には、分泌物があちこちの穴から出ることになるので、むしろ心配は少ないでしょう。
ヒルル: はるなさん(22歳)のお母様世代には、いかがでしょう?
003.jpg矢形先生:年齢が高い人の場合、たとえば40代、50代となってきて、1つの穴からこうした分泌物が出るなら、病院に行って確認した方がいいですね。最近は、乳腺専門のクリニックが全国的にたくさんできてきています。こうしたクリニックはインターネットでも探せるので、一度そういうところに行って確認するということも大事だと思います。
ヒルル: 心配しないで大丈夫な場合を教えてください。
矢形先生:授乳期でなくても白い分泌物が出るという、まさに乳汁状の場合、大丈夫な場合がきわめて多いですね。1つの穴からではなくて、いくつかの穴から出ていたり、両方から出ていたりする場合は、問題ありません。

※「病気ですか?(2/2)」に続きます。

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