病気ですか? 乳首から液体が...(2/2) 矢形寛 先生(聖路加国際病院)

(第2回 聖路加国際病院 矢形先生インタビュー)

ヒルル: 次に、イチバン気をつけるべきことを教えてください。
sei1jpg.jpg矢形先生:一番気をつけなければならないのは、どちらかの乳房の1つの穴から茶色っぽい(赤っぽい)分泌物が出ている場合です。これはもうキッチリ病院に行ってもらって、シッカリと確認してください。ただし、出産後にミルクと共に、時々ちょっと出てくることがあるんですね。そういうときはたいてい大丈夫です。でも、この状態が続くときは、一応、病院に行ってチェックしてもらった方がいいでしょう。
ヒルル: 茶色っぽいものは何ですか?
矢形先生:乳管の中にがん細胞が増殖してくると、がん細胞の組織は非常にもろく、そこに作られてくる血管が破綻しやすいのです。キチッとからだの構築をするのではなく、てきとうに増殖してきて、その中に血管がどんどんと作られるので、非常にもろくなります。もろいということは、壊れやすくて血液が溜まりやすいのです。それがまわりの水などと混じって出てくるのが、茶色い分泌物です。
ヒルル: 茶色っぽい=がん、なんですか?
矢形先生:いいえ、がんでなくても、そういうことはあります。良性の何か小さなものができても、そこの血管が破綻すると、血液が溜まって、まわりの水と血液が混じりあって、茶色っぽいものが出てくることがあります。基本的な考え方を言えば、一番安全なのは、両側から、あるいは複数の穴から出ている場合、特に乳汁状のものは大丈夫、黄色透明であっても複数の穴から出ているものは大丈夫なものが多いということになります。
ヒルル: 何か異常があったら検診を受けに行くべきですね。
矢形先生:まず「検診」と「病院に行く」というのは、全然ちがうスタンスです。検診というのは「特に私はなにも症状がない」という状況で検診に行きます。もし何か異常があったら、すでにそれは検診ではなく「病院に行くべき」という状況です。
ヒルル: 病院に行かなければいけない状況は、ほかにどんなときでしょうか?
sei2.jpg矢形先生:乳房の一部が、ちょっと凹んでいる「えくぼ症状」というのがあります。これは下にがんができて組織を中にギュッと引き込む症状です。つまり皮膚が凹んでいるわけです。それから、どこか一部の皮膚が赤くなる「発赤(ほっせき)」ができたり、乳房全体が赤くなってきたりしたときは、病院に行った方がいいですね。
ヒルル: 赤くなった場合も、がんですか?
矢形先生:炎症、つまり乳腺炎かもしれません。しかし、すごく質(たち)の悪いがん、炎症性乳がんということもあります。実は若い人で、炎症と間違われて見つけるのがおくれてしまう人がいるのです。特に産褥期で、乳房が赤くなってきたとき、「ああこれは乳腺炎だ」と、何ヶ月も炎症の治療だけ行われている場合があります。どうも治らないということで乳腺科に来たときは、がんとしてかなり進行している、ということがあります。産褥期のこうした赤い発赤乳腺炎の場合がほとんどです。しかし、その中に炎症性乳がんという、変わったタイプのがんが隠れているので注意が必要です。
ヒルル: そのほかには、何か気をつけたい症状はありますか?
矢形先生:若い人にはあまり出ないのですが、乳頭の表面が荒れるケース、「びらん」と言いますけども、ちょっとタダレてきたという場合は要注意ですね。がんの症状である可能性があります。がんの場合は、乳管をずっと育ってきて、行くところがなくなり乳頭の表皮に拡がった結果。表面のきれいな表皮がなくなり荒れた状態になります。パジェット病という名前がついた、がんです。そういう場合は、皮膚科ではなく乳腺科ですね、皮膚科の先生も見逃さないとは思いますが...。
ヒルル: ありがとうございます、矢形先生。


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