「卵巣がんになりやすい人は?」「母が卵巣がんなので、遺伝が心配!」 滝澤憲 先生(がん研有明病院)

(第1回 がん研有明病院 瀧澤先生インタビュー)

■女性のライフスタイルの変化が原因!?

takizawa_01.jpg卵巣がんは、30年前より死亡数も病気にかかる方の数も3倍近くに、40年前より約4倍にも増えています。その原因ははっきりとはわかっていませんが、疫学調査(卵巣がん患者を対象にしたアンケート調査)から、女性のライフスタイルやライフサイクルの変化が大きく影響しているのではないかと考えられています。

発生要因として考えられるのは、

(1)妊娠・分娩回数の減少と妊娠開始年齢の高齢化
(2)高たんぱく・高脂肪の食事
(3)女性の高学歴化、社会進出によるストレス

です。

(1)では、低用量ピルを服用していた人に卵巣がんが少ないことから、逆に排卵の回数が多いと癌になりやすいと考えられています。

(2)は、欧米での罹患率の高さから、欧米型の食事も要因とされます。

(3)は、女性の社会的責任が増えるにともない、ストレスも増加していることです。

強いストレスは卵巣の機能を低下させ、「生理が止まる」、「月経周期が乱れる」といった症状を招く原因になります。このような症状がある場合は、早めに婦人科を訪れてください。

■卵巣がんのうち、9割以上は突発性

不妊治療で使われる排卵誘発剤が、卵巣がんを発生させやすいかどうかはまだ研究段階で、これまでのところは悪影響を与えるという確かなデータは得られていません。

一般的に、卵巣がんのうち9割以上は突発的な発生であると考えられています。
遺伝はまれですが、BRCA1、BRCA2という"がん抑制遺伝子"に異常があると、卵巣がんや乳がんを発症する確率が高くなることがわかっており、この遺伝子の異常は遺伝することがあります。
この遺伝子異常があるかないかを調べることもでき、BRCA1の遺伝子異常があった場合、80歳までに卵巣がんを発症する生涯危険率は60%あるといわれ、数字的には高い確率です。一方BRCA2の遺伝子異常の場合は、リスクはその1/3程度で、「必ずがんになる」というわけではありません。

血縁者に卵巣がん患者がいるからといって過剰に心配する必要はありませんが、takizawa_02.jpg逆をいえば、卵巣がんは卵巣がある女性ならば誰でもが発症する可能性を秘めているともいえます。少しでも異常を感じたら早めに受診する、良性の卵巣嚢腫などがあれば定期的に観察するなどを、ぜひ心がけてください。


※次回の瀧澤先生インタビューは、こちら→「卵巣がんにはどんな種類があるの?」「年齢によって症状は違うの?」

「マンモグラフィって何?」「エコー(乳超音波検査)とその特徴って?」 土井卓子 先生(湘南記念病院)

(第1回 湘南記念病院 かまくら乳がんセンター 土井卓子先生インタビュー)

■マンモグラフィとエコーの違い

doi_02.jpg乳がんの検査には、「マンモグラフィ」と「エコー(超音波検査)」があります。マンモグラフィは乳房専用のX線撮影装置で、乳房を挟んで左右、上下の2方向から撮影します。しっかり挟んで圧迫しないと腫瘍の有無、腫瘍の境界線がわからないので痛むこともありますが、乳房が柔らかくなる生理直後の数日間内に受けると、比較的痛みが少ないようです。

マンモグラフィでは、触診では見つけることのできない小さな腫瘤(しゅりゅう=しこり)、乳がんの特徴のひとつである微細な石灰化、転移を起す力を持たない"非浸潤がん"を見つけることが可能で、乳がん検診の主流となっています。

■放射線の影響は?

doi_03.jpgマンモグラフィはX線を使用しますが、1回の被爆線量は3mGy(ミリグレイ)未満と非常に少ないので、繰り返し受けたからといって発ガンなどの心配はありません。

一方エコーは、超音波の反射波を利用して乳房内の腫瘤や構造の乱れの有無、腫瘤の中の状態や広がり具合も見ることができます。マンモグラフィでは判断しにくい若い女性の乳腺も見やすいという特長があります。マンモグラフィではまだしこりとして捕らえられない非常に小さな癌も見やすうという特徴があります。

このように、2つの検査は得意分野が異なりますので、1年に1度、できれば2つとも受けましょう。

また初期でも乳がんがある場合、不妊治療などでホルモン療法を受けると悪影響を及ぼしますので、特に不妊治療前には必ず受けてください。

■乳がんは、自分でも見つけられる

乳がんは唯一、自分で触れて見つけることが可能な腫瘍でもあります。自己触診を心がければ早期発見につながるので、ぜひマスターして定期的に行ってください(図参照)。

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やり方は、4本の指を揃えて、指の腹で力を入れて乳房を圧すようにし、少しずつ指をずらして、しこりがないかどうかを探ります。胸の大きい人は、背中にクッションなどを当て、のけぞるように寝そべってするとやりやすいでしょう。石鹸で手のすべりがよくなっている入浴中に行うのも有効です。

そのほか、鏡に映った乳房にへこみやひきつれはないか、乳頭を軽くつまんだときに分泌物がないかなどもチェックポイントです。

※次回の土井先生インタビューは、こちら→「上手な主治医の選び方」「上手な主治医への質問の仕方」